Vol.66 秋の睡眠週間 ぐっ(9月)すり(3日)眠って、睡眠負債をリセットする
2025.08.22生まれたばかりの赤ちゃんは、1日の大半を眠って過ごします。成長するにつれて昼寝が減り、就寝時間が遅くなり、睡眠時間も少なくなっていきます。一生のうち、どれくらい眠っているか試算してみると、睡眠時間は人生の約3分の1を占めています。
睡眠は、脳や身体をメンテナンスする大切な時間です。しかし近年の睡眠事情を見てみると、20歳以上の成人の平均睡眠時間は約3分の1が6〜7時間とされています。一方で、30〜50歳代の男性、40〜60歳代の女性の4割以上が、1日6時間の睡眠を確保できていないという結果もあります。
「睡眠を削っても何とかなる」と思われがちですが、睡眠不足は“自覚しにくい疲労”を蓄積させます。いつもならしないようなミスをしてしまったり、気づかないうちにウトウトして意識が飛んでいた、ということも起こりかねません。
睡眠の質を保つことは、心身の健康の土台ともいえるのです。

「睡眠による休養を十分とれていない者」の割合は増加傾向に
「健康日本21(第二次)」では、「睡眠による休養を十分とれていない者」の割合を減らすことを目標に掲げてきました。
しかし、2009年に18.4%だった割合は、2018年には21.7%に増加しています。また、2021年のOECDの調査では、日本人の睡眠時間が諸外国の平均と比べて短いことも指摘されています。
「適正な睡眠時間の確保」と「睡眠休養感の向上」が大切
平日の睡眠不足を休日の“寝だめ”で補おうとする人もいますが、それは体内時計を乱し、「社会的時差ボケ」の原因となり、かえって健康リスクを高める可能性があります。
日々の生活の中で、「眠る時間を確保すること」と、「眠っている間にしっかり回復できるよう、質の高い眠りをとること」の両方を意識することが大切です。
睡眠時間が不十分な背景
睡眠時間の長さに直接関係するのは、仕事の時間です。ここでいう仕事には、労働としての勤務時間だけでなく、家事や育児といった生活に関わる時間も含まれます。労働時間が長い場合には、当然ながら睡眠時間が短くなりがちです。2022年の国民栄養・健康調査では、子育て中の働く女性の平均睡眠時間が6時間と短いことが指摘されています。
また、体内時計の乱れは睡眠の質の低下につながると考えられています。不規則な時間に食事をとる習慣や、朝食を抜くこと、夜遅い時間の食事は体内時計を乱す要因となります。

カフェインやアルコールなどの嗜好品、さらにはたばこ(ニコチン)も睡眠に影響を与えます。カフェインには覚醒作用があるため、寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったりします。お酒を寝酒として利用する方もいますが、アルコールは睡眠後半の深い眠りを妨げ、中途覚醒を増やしてしまうことがわかっています。
身体活動に目を向けると、運動習慣がない人は睡眠の質が低下することも報告されています。
さらに、デジタル機器のブルーライトは睡眠の質を悪化させるため、スマートフォンやタブレット端末を寝室に持ち込む習慣は避けたほうがよいでしょう。
環境の調整:快眠のために整えたいこと
- ・光:寝室の照明が明るすぎると、わずかな光でも中途覚醒を増やす要因になります。
特にブルーライトは、睡眠を促すホルモン「メラトニン」の分泌を抑制し、入眠を妨げます。 - ・温度:暑すぎる・寒すぎる寝室は、深部体温の適切な低下を妨げ、寝つきや睡眠の質を悪化させます。
- ・音:騒音は深い睡眠を減らし、覚醒頻度を高めます。

「良質な眠り」でパフォーマンスアップを
「疲れやすい」「集中力が続かない」と感じたら、まずは睡眠を見直してみましょう。
私たちの心と体は、眠っている間にリセットされています。だからこそ、睡眠の質が上がれば、翌日の体調も、仕事の進み具合も改善されるかもしれません。
働き盛りの世代だからこそ、眠りを大切に。
あなたの「睡眠」は、あなたの未来をつくります。
今夜から、「眠りの質を上げる習慣」を始めてみませんか?