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vol.13 睡眠時間と休息感の最近の知見

2023.03.17

3月の第3金曜日は「世界睡眠デー」だそうです。皆さんはご存知でしたか?
ちなみに、日本は世界睡眠デーとは別に、3月18日は「春の睡眠の日」、9月3日は「秋の睡眠の日」が定められています。
今回は「十分な睡眠」について考えてみたいと思います。

 

睡眠時間と休息感

「十分な睡眠」の考え方

成人の睡眠時間は、6時間以上8時間未満の人がおよそ6割を占めています。個人差はありますが、一般的には歳をとると睡眠時間は徐々に短くなり、朝型になるようです。忙しい日が続くと、睡眠時間を削って頑張ってしまいがちですが、無理が続くと睡眠不足によって作業能率は下がり、その結果、長い時間作業をすることになってしまいます。

睡眠は、「寝ている時間」と「眠りの深さ」が関係しています。また、寝床で過ごしている時間は「寝ている時間」とイコールとは限りません。
睡眠時間の長さを評価した多くの調査がありますが、調査方法にはいくつか弱点があります。

■ 睡眠時間と床上時間(寝床で過ごす時間)の区別が明確にできない
■ 自分が思う睡眠時間と脳波や活動量計を用いて客観的に測定した睡眠時間に差がある
■ 良く寝たと思う感覚(睡眠休養感)が考慮されていない

そうした弱点を考慮して、40歳以上の米国の地域住民を対象にコホート研究が行われました。
この研究のポイントは3つです。
① 睡眠時間と床上時間を別々に評価
② 専用機器を使って睡眠時間を客観的に評価
③ 睡眠充足度の指標として「睡眠休養感」を点数化して評価
寝床に入ってから寝付くまでの時間や睡眠中の自覚のない覚醒を含めた時間

 

働き盛り世代における睡眠時間と総死亡リスクの関係

睡眠時間を、①短い(331分未満)、②中間(331分以上441分未満)、③長い(414分以上)の3つのグループに分け、追跡年数の期間中に亡くなった人の延べ人数の割合をまとめました。

働き盛りの世代では、「長い睡眠時間」のグループで亡くなる人の割合が一番少なくなりました。逆に、「短い睡眠時間」のグループで、亡くなる人の割合が多くなるという結果でした。

 

働き盛り世代における睡眠休養感と睡眠時間と総死亡との関係

睡眠時間と、睡眠休養感の有無に分けて、総死亡のハザード比を求めました。
ハザード比は1.0を基準とし、1.0未満であれば亡くなる人が少ないことを表します。

働き盛り世代では、「睡眠休養感がなく、短い睡眠時間」のグループは亡くなるリスクが最も高い結果でした。逆に、睡眠休養感の有無に関わらず、「長い睡眠時間」のグループは亡くなるリスクが低い結果でした。

この結果から、「睡眠時間が短くかつ寝た気がしない」という状況で、頑張ってしまうのは、からだを酷使していることが読み取れます。睡眠時間を確保することや睡眠の質を高めることは、からだを労わることに繋がります。

 

平成の初期に「24時間、働けますか?」というCMが流れていましたが、人間は24時間働けません。仕事のパフォーマンスを高めるためには、睡眠時間を確保し、仕事のオンとオフのメリハリをつけることが、大切なのだと思います。
今回のコラムをきっかけに、日頃の睡眠時間や生活サイクルを見直してみませんか?

 

参考URL
国立精神・神経医療研究センター 睡眠休養感がカギを握る:健康維持・増進に役立つ新規睡眠指標の開発
https://www.ncnp.go.jp/topics/2022/20220224p.html

text/保健師 山本浩子

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